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菅義偉総理の「政治資金パーティー収入」の透明度は0・5%!

はじめに

 具体例で解説した方がわかりやすいと思いましたので、菅義偉総理の政党支部・政治団体の政治資金における「収入」について、公益財団法人「政治資金センター」にアップされている各政治資金収支報告書の記載に基づいて収入の種類別に確認しました(以下をクリックしてお読みください)。

菅義偉総理の政治資金「収入」を種類別に確認してみました

 ところで、「収入」には、「個々の収入の提供者、年月日、金額等の明細がわかる収入」と、「それらの明細がわからない収入」とがあるのです。

そこで、ここでは、その「収入」の不透明度について算出してみます。ここでいう「不透明度」とは、収入のうち、個々の収入の提供者、年月日、金額等その明細が政治資金収支報告書に記載されていないものが何パーセントなのかということです。これは現在の政治資金規正法が不十分であることに起因しています。

 

1.菅総理の政党支部・資金管理団体の収入の不透明度75%、透明度25%(2019年)

 菅総理の政党支部と資金管理団体の2019年分の政治資金の「収入」について明細のわかるものとわからないものの数字を紹介します。

(1)自由民主党神奈川県第2選挙区支部

収入の種類 収入額(円) そのうち氏名等
明細がわかる
(円)
明細がわからない
(円)
党費 664,000 0 664,000
本部からの交付金 13,700,000 13,700,000 0
その他の収入
(1件10万円未満)
9,763 0 9,763
個人からの寄附 2,440,000 2,440,000 0
法人からの寄附 12,913,490 11,113,490 1,800,000
政治団体からの寄附 100,000 100,000 0
政治資金パーティー収入 45,003,000 0 45,003,000
合計 74,830,253 27,353,490 47,476,763

 なお、党費の支払者については、寄附とは性格が全く違うので、支払者の人数の記載は義務づけられていますが、支払者の氏名など明細の記載は義務付けられていません。

 

(2)横浜政経懇話会

 資金管理団体「横浜政権懇話会」の場合は、会費の支払者は一人もいません。菅総理の支援者らでつくられた政治団体ではなく、菅総理が自分のためにつくった政治団体だということは、この点でもわかります。

収入の種類 収入額(円) そのうち氏名等
明細がわかる(円)
明細がわからない
(円)
会費 0 0 0
その他の収入
(1件10万円未満)
767 0 767
個人からの寄附 150,000 150,000 0
政治団体からの寄附 0 0 0
政治資金パーティー収入 37,480,000 0 37,480,000
合計 37,630,767 150,000 37,480,767

 

(3)両者の合計不透明度75%(透明度25%)

 以上、菅総理の政党支部と資金管理団体の2019年分の政治資金の「収入」における明細のわかる金額と明細のわからない金額を合計し、不透明度を算出したところ、約75%強もありました。つまり、収入の4分の3は明細が不明なのです。言い換えれば、明細のわかる透明度は25%弱で、収入の4分の1しかないことになります。

 そのうち、政治資金パーティーは3748・8万円もの収入がありながら、明細のわかる金額は0円であり、透明度は0%。不透明度は100%でした。

収入の種類 収入合計額(円) そのうち氏名等
明細がわかる
(円)
明細がわからない
(円)
両者の総計 112,461,020 27,503,490 84,957,530
割合 75.54%

 

2.透明度0・5%の政治資金パーティー収入

(1)2011年~2019年の政党支部・資金管理団体の主要収入の透明度

 では、主要な収入源のうち、透明度の低いものは何でしょうか?

 それは政治資金パーティーだと、以上の2019年分だけでも十分わかりますが、2011年から2019年までの政党支部・資金管理団体の主要収入のうち、種類別に、明細のわかる金額と明細のわからない金額の各合計は幾らになるのか、収入のうち、明細のわかる金額は何パーセントなるのか、算定してみました。

 菅総理の政治資金の第一の収入は政治資金パーティーだということを前回の投稿で紹介しましたが、透明度が低いのは、その政治資金パーティーで透明度は0・5%しかありませんでした。9年間で6億4252万円超もの収入があるのに明細がわかるのは、わずか350万円に過ぎず、6億3952万円超もの金額の分は明細がわからないのです。

 収入の種類 収入額(円) そのうち氏名等
明細がわかる(円)
明細がわからない
(円)
透明度
本部からの交付金 136,120,000 136,120,000  0 100%
個人からの寄附 58,836,686 55,971,686 1,839,000 95.13%
法人からの寄附 174,411,622 148,640,567 25,781,055 85.22%
政治団体からの寄附 44,560,000 43,930,000 630,000 98.59%
政治資金パーティー 642,527,970 3,500,000 639,527,970 0.54

 

(2)政治資金規正法における政治資金パーティー明細記載の基準の問題性

 政治資金パーティー収入の透明度が寄附に比べもも低いのは、政治資金規正法によると、明細を政治資金収支報告書に記載する基準が寄附に比べて高額すぎるからです。具体的に言えば、寄附の場合、年間で5万円を超える寄附者については、その氏名など明細が記載されなければなりませんが、政治資金パーティ券の購入の場合、その氏名などの明細が記載されなければならないのは、年間ではなく、一つのパーティーにつき合計20万円を超えた購入者だけなのです。

 例えば、一つの政党支部・政治団体に対し1年間に2万円の寄附を3回した者、つまり年間で計6万円を寄付した者については、その受領した政党支部・政治団体は、その寄付者の氏名などの明細を政治資金収支報告書に記載しなければなりませんが、一方、政党支部・政治団体が5回のパーティを開催し、その都度20万円ずつ、計100万円分のパーティー券を購入したものについては、1件につき全て20万年以内なので、政治資金収支報告書に氏名などは記載されないのです。

 以上の例だと、計6万円の寄付者は氏名などの明細が記載されるのに、計100万円のパーティー券購入者はその氏名など明細が記されないのです。明らかに政治資金規正法の不備・欠陥です。法律改正すべきです。

収入の明細記載基準の違い


収入の種類
明細を記載する基準 政治資金収支報告書に記載する明細事項
寄附収入 同一の者からの寄附で、その金額の合計額が年間5万円を超えるもの 寄附者の氏名、住所及び職業、当該寄附の金額及び年月日
「一の政治資金パーティー」の対価に係る収入 同一の者からの政治資金パーティーの対価の支払で、その金額の合計額が20万円を超えるもの 対価の支払をした者の氏名、住所及び職業並びに当該対価の支払に係る収入の金額及び年月日

なお、「その他の収入」の明細記載基準は「1件10万円以上」。

以上。


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