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菅義偉総理の政治資金の「支出」(2019年、透明度ゼロ「人件費」2458万円超、「翌年への繰越額」約2・3億円)
はじめに
参考例として取り上げている、菅義偉総理 (前官房長官)の政党支部「自由民主党神奈川県第2選挙区支部」及び資金管理団体「横浜政権懇話会」 の政治資金における「収入」について、公益財団法人「政治資金センター」にアップされている各政治資金収支報告書の記載に基づいて収入の種類別に確認しましたし、また、各収入源の明細のわかる透明度を算出しました(以下をクリックしてお読みください)。
菅義偉総理の「政治資金パーティー収入」の透明度はわずか0・5%!
では、次に、菅義偉総理の政党支部・資金管理団体の政治資金における「支出」について紹介します。
1.支出も総選挙の年に多額になる
「支出」も、衆議院議員総選挙の年(2012年、2014年、2017年)には多額になっています。なお、 2011年 は自民党が野党時代です(2012年1 2月の総選挙の結果、自民党は公明党とともに政権に復帰しました)。
「支出」の合計額(円)
年 |
自由民主党神奈川県第2選挙区支部 |
横浜政経 懇話会 |
支出合計 |
備考 |
2011年 |
77,722,667 |
24,711,260 |
102433,927 |
|
2012年 |
90,672,878 |
15,410,317 |
106,083,195 |
衆議院総選挙 |
2013年 |
62,093,206 |
14,780,142 |
76,873,348 |
|
2014年 |
75,475,241 |
22,935,950 |
98,411,191 |
衆議院総選挙 |
2015年 |
60,245,057 |
25,325,868 |
85,570,925 |
|
2016年 |
63,564,595 |
23,910,430 |
87,475,025 |
|
2017年 |
88,193,423 |
19,553,487 |
107,746,910 |
衆議院総選挙 |
2018年 |
70,702,816 |
24,340,950 |
95,043,766 |
|
2019年 |
70,380,873 |
26,192,383 |
96,573,256 |
|
合計 |
659,050,756 |
197,160,787 |
856,211,543 |
以上については、公益財団法人「政治資金センター」にアップされている各政治資金収支報告書でご確認ください。
「支出」について総選挙の年に多額になっていますが、この点は、すでに確認したように「収入」についても同様でした。「支出」と比較するために、再度紹介しておきましょう。
「本年の収入」(前年からの繰越額収入を除く)の各合計額(円)
年 |
自由民主党 神奈川県第2選挙区支部 |
横浜政経 懇話会 |
合計 |
備考 |
2011年 |
79,054,498 |
16,407,816 |
95,462,314 |
|
2012年 |
123,183,301 |
19,637,060 |
142,820,361 |
衆議院総選挙 |
2013年 |
66,691,743 |
28,567,520 |
95,259,263 |
|
2014年 |
103,629,935 |
29,781,402 |
133,411,337 |
衆議院総選挙 |
2015年 |
69,820,787 |
33,457,545 |
103,278,332 |
|
2016年 |
67,570,375 |
41,337,651 |
108,908,026 |
|
2017年 |
120,247,480 |
37,490,493 |
157,737,973 |
衆議院総選挙 |
2018年 |
73,603,962 |
39,830,642 |
113,434,604 |
|
2019年 |
74,830,253 |
37,630,767 |
112,461,020 |
|
合計 |
778,632,334 |
284,140,896 |
1,062,773,230 |
2.明細不明な「人件費」への支出額は 2458万円超 (2019年)
政治資金規正法によると、「人件費」はすべての政治団体において支出先などの氏名・年月日・支出日など明細を政治資金収支報告書に記載することが義務づけられていませんので、まったく透明度ゼロの支出です。
菅総理の資金管理団体「横浜政経懇話会」は議員会館が事務所なので「人件費」の支出がありませんが、政党支部「自由民主党神奈川県第二選挙区支部」は「人件費」の支出が2019年の場合、2458万円超もあり、高額です(「自由民主党神奈川県第二選挙区支部」 の2019年分政治資金収支報告書でご確認ください)。
同年の政党支部の「経常経費」の支出が3358万円超なので、「人件費」の支出 2458万円超 は 「経常経費」の支出額の73%を占め、政治活動費を含めた支出総額7038万円の35%を占めています。
「人件費」の支出 2458万円超のうち、 税金が原資の 政党交付金の支出額は607万円強で、ほぼ4分の1が政党交付金です。同年の政党交付金の支出額は1277万円強で、そのほぼ半分が「人件費」に支出されています。
以上の実態を踏まえると、政党交付金の支出の半分が投入されている「人件費」については明細を記載することが法律で義務づけられていないのは、納税者から見ると、納得できないでしょう。透明度を高めるために明細の記載を義務づける法律改正が必要です。
自由民主党神奈川県第2選挙区支部の政治資金の支出とそのうちの政党交付金の支出(2019年)
年 |
自由民主党神奈川県第2選挙区支部 |
横浜政経 懇話会 |
合計 |
備考 |
2011年 |
6,954,395 |
9,093,827 |
16,048,222 |
|
2012年 |
39,464,818 |
13,320,570 |
52,785,388 |
衆議院総選挙 |
2013年 |
44,063,355 |
27,107,948 |
71,171,303 |
|
2014年 |
72,218,049 |
33,953,400 |
106,171,449 |
衆議院総選挙 |
2015年 |
81,793,779 |
42,085,077 |
123,878,856 |
|
2016年 |
85,799,559 |
59,512,298 |
145,311,857 |
|
2017年 |
117,853,616 |
77,449,304 |
195,302,920 |
衆議院総選挙 |
2018年 |
120,754,762 |
92,938,996 |
213,693,758 |
|
2019年 |
125,204,142 |
104,377,380 |
229,581,522 |
|
合計 |
694,106,475 |
459,838,800 |
1,153,945,275 |
3.「翌年への繰越額」が増え続けている!(2019年は2億2958万円強)
以上の政党支部・資金管理団体の「支出」合計と「収入」合計の各金額を比較して気づくのは、「収入額」に比べ「支出額」が少ないことです。これはある意味では健全なことですが、そのこと以上に重要な事実は、「翌年への繰越額」を見ると、その額が増え続けていることです。
野党時代の2011年の 「翌年への繰越額」 は1605万円弱だったのに、翌年に政権に復帰してからは増え続け、2014年には1億円を超え、2018年からは2億円を超え、2019年は2億2958万円強もあります。
翌年への繰越額(円)
年 |
自由民主党 神奈川県第 2選挙区支部 |
横浜政経 懇話会 |
合計 |
備考 |
2011年 |
6,954,395 |
9,093,827 |
16,048,222 |
|
2012年 |
39,464,818 |
13,320,570 |
52,785,388 |
衆議院総選挙 |
2013年 |
44,063,355 |
27,107,948 |
71,171,303 |
|
2014年 |
72,218,049 |
33,953,400 |
106,171,449 |
衆議院総選挙 |
2015年 |
81,793,779 |
42,085,077 |
123,878,856 |
|
2016年 |
85,799,559 |
59,512,298 |
145,311,857 |
|
2017年 |
117,853,616 |
77,449,304 |
195,302,920 |
衆議院総選挙 |
2018年 |
120,754,762 |
92,938,996 |
213,693,758 |
|
2019年 |
125,204,142 |
104,377,380 |
229,581,522 |
|
合計 |
694,106,475 |
459,838,800 |
1,153,945,275 |
すでにこれまでの投稿で確認したように、菅総理の場合、第一の収入源は政治資金パーティー収入で、近年は安定的に増えていましたので、その収入は翌年へ繰り越されていることになりそうです。これだと政党交付金(税金)はなくても政治資金は 十分 ありますね。
政治資金を2億3000万円近く貯めこんでいるのは、今後、総選挙で敗北し下野した時に「収入」が減るので(2011年の「翌年への繰越額」を参照)、そのときのために備えているのでしょうか(!?)。気になりますね。
以上。