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例)
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菅総理の政党支部の2019年「渉外費」の「少額領収書の写し」を公表!
はじめに
参考例として取り上げてきた菅義偉総理の政党支部・資金管理団体については、これまで以下の投稿をしてきました(以下のリンクをそれぞれクリックしてお読みください)。
菅義偉総理の政治資金の「支出」(2019年、透明度ゼロ「人件費」2458万円超、「翌年への繰越額」約2・3億円)
菅総理の政党支部の「渉外費」の明細のわからない「その他の支出(1万円以下の支出)は9年間で約2782万円!
今回は前回の続きです。
菅総理の「自由民主党神奈川県第二選挙区支部」の2011年から2019年の支出の中の「渉外費」のうち、明細が政治資金収支報告書に記載されない「その他の支出」(1万円以下の支出)の合計額が9年間で約2782万円もあり、かつ、2019年はこれまでよりもその金額が少ないとはいえ1年間で270・8万円もあるのに驚き、とりあえず2019年分だけでもその支出内容を見たいと書きました。
私は、すでに、その分の領収書(「少額領収書」)の写しを開示請求して開示を受けましたので、今回は、それを全て公表します。その前に開示請求について簡単に解説しておきます。
1.少額領収書の写しの開示請求
政治資金規正法によると、政治団体の各支出のうち、「1万円を超える支出」については、支出先の氏名・年月日・金額などの明細が政治資金収支報告書に記載することが義務づけられており、会計責任者はその報告書を総務大臣または都道府県選挙管理委員会に提出する際に、あわせてその各支出を証する「領収書の写し」も提出することが義務づけられています。したがって、国民は、政治資金規正法に基づいて、 「領収書の写し」 の全部又は一部を開示請求すると、開示を受けられます(その手続きについては「政党・政治団体の支出の「領収書の写し」を入手する方法」をご参照ください)。 一方、「1万円以下の支出」については、各項目の「その他の支出」として、各項目ごとに合計額を政治資金収支報告書に記載するだけで十分であり、それら「1万円以下の支出の領収書(少額領収書)の写し」を提出することは義務づけられていません。 もっとも、政治団体のうち、「国会議員関係政治団体」については、国民がその「少額領収書の写し」の全部または一部を開示請求すれば、総務大臣または都道府県選挙管理委員会は、「国会議員関係政治団体」に対し、「少額領収書の写し」の提出を命じることができ、その結果として、国民は「少額領収書の写し」 を入手することができます(その手続きについては、「国会議員関係政治団体の「1万円以下の領収書」(少額領収書)の写しを入手する方法」を参照ください)。
2.菅総理の政党支部の2019年分「渉外費」の「その他の支出」の少額領収書の写しを開示請求し開示を受けました
そこで、私は 「国会議員関係政治団体」で、菅義偉総理が代表の「自由民主党神奈川県第2選挙区支部」の 2019年 分の政治資金収支報告書 における様々な項目の「その他の支出」のうち、とりあえず「渉外費」の「その他の支出」(2,707,902 円)に限定して、上記手続きをとり、その「少額領収書の写し」をすべて開示請求し、開示を受けました。 開示された2019年「渉外費」少額領収書の写しの用紙の枚数は総計216枚で、1枚の用紙に2つまたは3つの領収書が複写されているものが多数ありましたので、「少額領収書の写し」の枚数は総計548枚でした(数え間違いがあったら教えてください)。
1月は枚数が多いので、前半(1月16日まで)と後半(1月17日以降)に分けています。新年会などの飲食会への参加費の支出が多かったのではないかと予想されます。
菅総理の「自由民主党神奈川県第二選挙区支部」の2019年における「渉外費」の「その他の支出」(1万円以下の支出)の開示用紙枚数と「少額領収書の写し」の開示枚数
月 | 開示用紙枚数 | 領収書枚数 |
1月①(16日まで) | 24枚 | 54枚 |
1月②(17日以降) | 29枚 | 72枚 |
2月 | 20枚 | 51枚 |
3月 | 13枚 | 35枚 |
4月 | 15枚 |
39枚 |
5月 | 20枚 | 47枚 |
6月 | 15枚 | 41枚 |
7月 | 12枚 | 33枚 |
8月 | 14枚 | 37枚 |
9月 | 11枚 | 32枚 |
10月 | 8枚 | 22枚 |
11月 | 15枚 | 36枚 |
12月 | 20枚 | 49枚 |
合計 | 216枚 | 548枚 |
3.開示された菅総理の政党支部の2019年分「渉外費」少額領収書の写し
下記において、上記「少額領収書の写し」をPDFファイルでご公表します(以下の各リンクをそれぞれクリックし、表示された「領収書の写し」を更にクリックしてください)。
◆自由民主党神奈川県第二選挙区支部の2019年分「渉外費」少額領収書
・自民党神奈川県第二選挙区支部2019年「渉外費」少額領収書1月前半(16日まで)
・自民党神奈川県第二選挙区支部 2019 年「渉外費」少額領収書1月前半(17日以降)
・ 自民党神奈川県第二選挙区支部2019年「渉外費」少額領収書2月
・ 自民党神奈川県第二選挙区支部2019年「渉外費」少額領収書3月
・ 自民党神奈川県第二選挙区支部2019年「渉外費」少額領収書4月
・ 自民党神奈川県第二選挙区支部2019年「渉外費」少額領収書5月
・ 自民党神奈川県第二選挙区支部2019年「渉外費」少額領収書6月
・ 自民党神奈川県第二選挙区支部2019年「渉外費」少額領収書7月
・ 自民党神奈川県第二選挙区支部2019年「渉外費」少額領収書8月
・ 自民党神奈川県第二選挙区支部2019年「渉外費」少額領収書9月
・ 自民党神奈川県第二選挙区支部2019年「渉外費」少額領収書10月
・ 自民党神奈川県第二選挙区支部2019年「渉外費」少額領収書11月
・ 自民党神奈川県第二選挙区支部2019年「渉外費」少額領収書12月
4.政治資金収支報告書と領収書の「渉外費」支出のチェックポイント
政治資金の支出についての政治資金収支報告書や領収書・少額領収書の各写し(以下、「領収書」「少額領収書」という)のチェックポイントは、違法であるかどうかという視点dけではありません。政治的または道義的に問題がないかという視点もありますし、また、その支出の内容を見てその国会議員・政治団体の活動実態、性格および立場を再確認するという視点もあります。
(1)与党・議員の政治資金パーティー等の事業への「会費」支出
例えば、最後の視点でいえば、自由民主党神奈川県第二選挙区支部の2019年分政治資金収支報告書の52枚目と53枚目における「渉外費」の支出において、明細の記載されている支出を見ると、「会費」支出がほとんどであり、その中には、政党支部または政治団体が主催した政治資金パーティーへの参加費(パーティー券の購入費)あるいは事業への参加費ではないかと思われるものが複数あります。
「自由民主党神奈川県横浜市中区第5支部」は、名称の通り自民党の支部で、 「せのま康浩後援会」は自民党の瀬之間康浩・横浜市議会議員に関する政治団体で、 「桐生ひであき後援会」と「桐生秀昭後援会」は自民党の桐生秀昭・神奈川県議会議員に関する政治団体でしょう(ただし、議員については同姓同名の可能性がないとは断定できないので確認をする必要があります)。
注目できるのは、自民党以外の政治団体に「会費」を支払っていることです。「上田いさむ後援会」は、菅総理の支援を受けていた公明党の上田勇・前衆議院議員に関する政治団体です。金額が「10万円」というのは、前記「自由民主党神奈川県横浜市中区第5支部」への「会費」と同額なことです。
自民党は公明党と連立を組んでいるから当然に「会費10万円」支出だと言えそうですが、実は、菅総理の資金管理団体「横浜政経懇話会」の2018年分政治資金収支報告書の20枚目をみると、「あだち康史君を励ます会」(2018年4月11日)に「会費10万円」を支出していたのです。「会費10万円」は公明党の国会議員の政治団体への「会費」と同額です。この「あだち康史」氏は、日本維新の会の足立康史衆議院議員です。日本維新の会は、連立政権に参加してはいませんが、菅総理(当時官房長官)にとっては、日本の維新の会(少なくとも足立康史議員)は事実上の与党(少なくとも与党の国会議員)という評価をしていたのでしょうか。
開示された上記「少額領収書」には、公明党神奈川県本部への「会費」(2019年1月16日)があり、但し書きには「新春の集い会費」と明記されていますが、金額は「1万円」です。これが菅総理の本心の表れなのかもしれません。 政治資金収支報告書や領収書・少額領収書のチェックは、違法かどうかの視点だけが重要なわけではありません。主権者国民がこの点についても大いに関心を持っていただくと政治資金収支報告書のネット公表の意義を大いに感じていただけるのではないでしょうか。
(2)本当に「会費」なのか??(寄附ではないか?寄付が含まれているのではないか?)
前掲の自由民主党神奈川県第二選挙区支部の2019年分政治資金収支報告書の52枚目と53枚目における「渉外費」の明細の記載されている支出の中には、本当に同支部の「会費」なのか、考えてしまうものがあります。
例えば、「日本民謡歌謡舞踏協会」への「会費1万2000円」の支出(2019年4月10日)があります。同協会では、政党支部にも「会員」になる資格を認めているのでしょうか?(同協会については、インターネトで検索してもヒットしませんので、「会員」資格を確認できませんでした)。 この「日本民謡歌謡舞踏協会」は、誤記ではないかと思われます。というのは、2018年の同支部政治資金収支報告書には、「日本民謡歌謡舞踊協会」と明記されているからです。また、開示された上記2019年「少額領収書」によると、「日本民謡歌謡舞踊協会」に「会費」としての支出があります(2019年1月14日)が、同協会も、インターネットでヒットしませんので、「会員」資格は確認できませんし、その「少額領収書」の「会費」は「8000円」であり、「1万2000円」ではありません。
ひょっとすると、安倍事務所の誰か個人数名が「会員」なのかもしれませんが、そうでないとすれば、同協会の何らかの事業・催し物への参加費をいずれも「会費」と記載されたのでしょうか?
2019年4月10にには「年会費」として1万円の支払いを証する「日本会議」の少額領収書があります。日本会議の正会員や議員会員の年間会費額は1万円なので、これは菅総理が日本会議の会員であった場合、政治活動としての支払いとして菅総理の資金管理団体が支払っていることになります。
2019年11月16日には「横浜秋田県人会」の「会費」を証する少額領収書(7000円)がありますが、政党支部が県人会の「会員」資格があるはずがないので、菅総理またはその家族等の分を政党支部が支払ったことになりそうです。
そのほか、神社やお寺が発行した少額領収書があり、そこには「会費」の支払いと明記されたものが多数あります。政党支部に「会員」資格があるとは思えませんが、例えば菅総理がお祓いを受けたのであれば、支払い義務が発生します。
新年会や忘年会、懇親会など飲食会の参加費としての会費の場合も、「1万円」と高額なものがあります。
(3)「1万円超の支出」だったのでは!?
開示された上記「少額領収書」を見てみると、「1万円以内」ではなく、「1万円を超える支出」であり、政治資金収支報告書に明細を記載すべき支出だったのではないかと思えるものがあります。
例えば、2019年1月27日に7000円の「会費」を受領したという「株式会社ドリーム観光」の少額領収書がありますが、それは、1枚ではなく、4枚もあります。普通、2万8000円の領収書1枚に、「7000円4人分」と明記するのではないでしょうか。ということは、計2万8000円になるので、「政治資金収支報告書に明細を記載すべきである1万円を超える支出」だったのではないでしょうか。 領収書を発行する側も不思議に思ったのではないですかね。
そのほか、2019年4月15日には6000円の「PL会費」を受領したという「パーフェクトリバティー教団横浜協会」の少額領収書が2枚ありますので、計1万2000円になりますし、2019年11月2日にも6000円の「PL会費」を受領したとする「パーフェクトリバティー教団横浜協会」の少額領収書が2枚あり計1万2000円になります。前者は「2019年4月~9月分」(つまり6か月)の「会費」であり、後者は「6か月」(おそらく10月から翌年3月まで)の「会費」です。つまり月1000円。「パーフェクトリバティー教団」のHPの「Q&A」によると、「毎月、会費を納めます。月会費は、一般が 1,000円、中学生・高校生・学生は 300円です。」と明記されていますので、上記「会費」の合計は2万4000円であり、「一般」2名分の1年間の「PL会費」ということになります。政党支部は「一般」に含まれないと思えますが、たとえ含まれていたとしても1名分になるはずです。2名分の1年間の「会費」となると、菅事務所の誰か2名が「会員」で、それを政党支部が肩代わりしたのかもしれません。
また、2019年11月9日には1万円の「会費」を受領したとする「港南区親睦バスツアー実行委員会」の少額領収書が2枚あります。計2万円です。
最後に
政治資金収支報告書における「渉外費」の支出内容、上記で紹介した少額領収書の内容をチェックしてみてください。様々なことが見えてくることでしょう。
公益財団法人「政治資金センター」は、 主権者・納税者の皆さんが政党や国会議員らの政治資金の収支をチェックできる機会を 身近なものにしていただくために、政党や政治団体の政治資金収支報告書の主要なものを収集してインターネット公表している事業を続けています。現在、皆様の寄附でどうにか維持・運営できていますが、政治資金収支報告書をインターネット公表していない県選挙管理委員会には政治資金規正法に基づき開示請求して開示を受けるには、時間だけではなく費用が掛かります。 その費用だけでも大きな負担なので、今回紹介した「少額領収書の写し」の請求をするには財政的に余裕がないので、個人の負担で行いました。
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